カイルアの町とコオラウ山脈の間に、住宅がまったくないエリアがあります。山の斜面でもないし、どうして住宅がないのか?近くまで行けばわかります。このあたりは湿地です。
この湿地帯は、「カワイヌイ・パーク」という湿地の生態系を守るための保護区となっています。北海道の釧路湿原と同じで、ラムサール条約に登録されているエリアなのです。ハワイでは唯一だそうです。
わざわざ湿地帯をつくったのではありません。このあたりは、かつて海でした。外国人たちがハワイにやってくるよりもはるか昔、ハワイアンたちはカヌーに乗ってコオラウ山脈に近いこのあたりまでやってきていたのです。
時がたち、海が引き、カイルアの海岸線が広がりました。海岸線には人々の家ができましたが、このあたりには湿地帯が残りました。200年前にはタロイモ畑が広がっていたそうです。
現在、湿地帯はカワイヌイ・パークとして残っています。特別に何かがあるわけではなく、自然の湿地帯が広がっているだけの公園です。
公園の中に、人が歩くことができる道が続いています。この道もまた、特別に何かがあるわけではありません。どこまで行ってもまわりには湿地帯が広がっているだけ。
ハワイと聞くと、ワイキキビーチのような賑やかな海岸線を想像される方が多いと思いますが、これもまたハワイの姿。時の流れを感じながら、ハワイの自然を体感してみるのもいいかもしれません。

- 村上智洋xへなしゅん
- カンボジア、ベトナム、グアムなどH.I.S.の海外支店を渡り歩き、2017年3月にハワイ着任した男、村上智洋。各国での生活や体験は子どもにとっても貴重な機会ととらえ、その場所の空気や様子を直に感じ取ってくれることを願いながら、週末ごとに「プチ探検の旅」に出かける日々。8歳と6歳の息子ふたりと新たなハワイを発見すべく、子どもにも安全に楽しめる「もう少しハワイを知る」散策を続けている。 このことを聞きつけたへなしゅんが、その場所をへなしゅん的に紹介することで、村上以外のハワイ好きが【もう少しハワイを知る】手助けになれば、と乗り出して連載スタート。編集部員にヤイヤイ言われながら、書き綴っている。