ハワイとポリネシア関連の歴史、文化、自然に関する世界最大のコレクションを誇る「ビショップ ミュージアム」。カメハメハ王家直系最後の子孫のバニース・パウアヒ王女を称え、夫のチャールズ・リード・ビショップ氏によって1889年に創立されて以来、ミュージアム好きさんだけでなく、ハワイを訪れる世界中からの人々を魅了しています。
そのビショップミュージアムが、2021年4月より、ニューヨーク発の海洋環境保護団体「パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ/PARLEY FOR THE OCEANS」との共同で「パーレイ・エアステーション・ハワイ/Parley AIR Station Hawaiʻi」を開催しています。
毎週水曜~土曜日の10:00~16:00、同館の「ギャラリー・ローン」と呼ばれる芝生の広場で開催されるこちらのイベントでは、美しい海の脆弱性、プラスチックのアップサイクル*について学べるワークショップや、「マラマ(ハワイの伝統文化と美しい自然環境を守っていくための思いやりの心)」についてインフルエンサーから学べる機会を提供しています。
*アップサイクル: 原料や材料に戻すのではなく、元の製品の素材をそのまま活かして再利用すること。製品を原料に戻す際にエネルギーを必要とするリサイクルより、さらに持続可能な再利用の手法であると言われている。
「パーレイ」のスタッフの皆さんはとってもフレンドリー。回収されたペットボトルがリサイクルされるまでの過程を親切に説明してくれます。
そのリサイクルの過程で、こんなに細かく粉砕されて、
最終的には、こんなに素敵なカラビナやハンドボード等に生まれ変わるのだとか。(いずれも、ワークショップ展示用で非売品)
ただ、プラスチックのリサイクル過程では有害物質も発生することなどからも、同団体では“リサイクルがプラスチック問題に対する答えだとは考えていない”と、インターン生(高校生!)が頼もしく説明してくれたのが印象的でした。
展示物の中には、パーレイの設立メンバーである「アディダス」によってアップサイクルされたスニーカーも。プラスチックによる海洋汚染に対するパーレイのアプローチである以下の「AIR戦略」が具現化されたものです。
A:「Avoid(回避)」 プラスチックの使用を極力回避し、可能な場合は常に他の素材を使用する
I:「Intercept(回収)」 海へのプラスチック流出を阻止し、プラスチック廃棄物をアップサイクルするほか、他の用途を模索する
R:「Redesign(再設計)」 想像力を働かせ、材料、方法、思考を再設計する
ワークショップでは、子ども向けのアクティビティも用意されているので、芝生の上で家族連れの方々も楽しめます。
そして、毎月第2、4金曜日の17:00~21:00は、ビショップミュージアムの「アフターアワーズ」(通常の閉館後にオープンする夜間特別イベント)の一部として、「サンセットセッション」が開催されます。ライブミュージックやアート、海をこよなく愛するインフルエンサーによるトーキングセッションが楽しめます。事前登録(英語)が必要ですが、なんと参加費は無料。
この日は、ハワイ先住民の血を受け継ぐプロサーファー、ジャーナリスト、海洋保護科学者のクリフ・カポノ氏(写真左)をスピーカーに招き、「海の中心で: サンゴ礁とハワイ先住民としてのアイデンティティ探求(Heart of the Ocean: Exploring Coral Reefs and Hawaiian Identity)」と題して、パーレイのディレクター、カヒ・パカロ氏と共にトーキングセッションが開催されました。
会場には、アロハシャツやTシャツ、パーカー、ジャケット、キャップ等の古着を販売するテントも。掘り出し物もあるかもしれません。
ビショップミュージアムの「アフターアワーズ」も同時に開催されているため、たくさんのフードトラックからお好きなフードやドリンクを芝生でゆったり楽しめるのもうれしいですね。
こちらは、「アフターアワーズ」のライブミュージック。“パウハナ”(ハワイ語で“仕事の後”)には欠かせません。
そしてラッキーだと、会場となる芝生上空に、こんなに大きなダブルレインボーを拝めることも!この日は、遠くに見渡せるダイヤモンドヘッドまでくっきりと虹が掛かっていました。
「海が好き」「ハワイが好き」 - その共通項があれば、誰しもを歓迎してくれる空間がありました。ビショップミュージアムに足を運ばれたら、いえ、このイベント参加を目的にビショップミュージアムに足を運んで、ローカルの人々と一緒に大好きな海を守るために自分たちができることを考えたり、“Happy Aloha Friday”を楽しむというのも、いつもとは違った、ソーシャルグッドなハワイ旅行の醍醐味となるのではないでしょうか?
<2022/08/30の情報です>
